スピルリナとは、分類学上、藍藻類のネンジュモ目ユレモ属スピルリナ科に属する一群の藻類です。
スピルリナはとても不思議な藻で、一般の植物と同じように、炭酸ガスを吸収して光合成を行い成長するのですが、他の植物とは異なり、そのときデンプンを作らず、エネルギー変換に有効なグリコーゲン(動物性の炭水化物)を作ります。
スピルリナは1927年に、ドイツ人の藻類学者のトウルピン博士が発見し命名しました。
以降、スピルリナが食用として脚光を浴びるようになったのは、1967年にフランス国立石油研究所のクレマン博士の研究結果が発表されてからです。
スピルリナに含まれている良質で吸収しやすいタンパク質は、その高い栄養価(高タンパク質、高ビタミン、高ミネラル)ならびに消化性の良さが注目されるようになりました。
日本では1975年、元東京大学教授・渡邊篤教授、黄堂廣雲博士らが本格的に研究を始め、世界で始めての大量清浄培養に成功しました。
スピルリナの語源は、ラテン語の「螺旋(らせん)」という意味で、スパイラル状にねじれた形状に起因しています。健康で高品質のスピルリナは、顕微鏡で見るときれいな螺旋を描いているのが分かります。高品位なスピルリナで食用として利用されているのはその中でも、ごく一部に限られます。
現在、国内では航空宇宙技術研究所での研究や、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)で正式な栄養食品と認められたのをはじめ、NASA(米国航空宇宙局)では宇宙未来食糧として研究されており、国連のWHO(世界保健機構)でも「安全で理想的な栄養補助食品」と認められています。
スピルリナとよく対比されるのがクロレラです。その違いは、消化率と栄養価です。確かに成分・色・形ともによく似ていますが、藍藻類に属するスピルリナと緑藻類に属するクロレラでは大きな違いがあります。
クロレラは光合成でデンプンを作るのに対して、スピルリナはグリコーゲンを作ります。
特に成分の中で、植物繊維はクロレラの約4倍、ベータ・カロテンはクロレラの約50倍も含まれているばかりではなく、厚い細胞壁に覆われているクロレラに比べ消化吸収率もはるかに優れています。消化吸収率では、クロレラが単細胞植物であるため細胞壁が硬く消化しづらいのに対し、スピルリナは多細胞であるため細胞壁が柔らかく吸収率に優れています。
クロレラが未処理のもので1時間後の消化率が12%、細胞壁を破壊し粉末にしたもので59%なのに対し、スピルリナは何も処理せずに1時間後で80%、2時間後で95%と高い吸収率を示しています。更に、クロロフィル(葉緑素)や食物繊維が多く含まれていることから、「体中のいらないもの(毒素)を出しながら(いわゆるデトックス)、体内に必要なものを常時取り入れる」、すなわちスピルリナ単体で、排出物と体内に必要な成分の出し入れが同時に出来ることが、大きな特徴となっています。